パチンコ店で「本当にあった怖い話」

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darkforest 昔話
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季節は冬。

うっすら積る雪は路面を覆い、早朝の静けさは一段と増している様子だった。

日を見る時間も徐々に短くなり、仕事が終わればすぐにでも帰りたい。

そんな時期に都会からさらに雪の深い所へと、急な会社の都合で異動をさせられた店長は慣れない環境と単身での生活に疲弊しきっていた。

唯一の安らぎは、休みの日に家庭に戻り、子どもたちの顔を見ることだった。


その日も丁度休み。

夜中に帰宅し、社宅の堅苦しい寝床から束の間の解放を楽しんでおったのだが、朝方眠りに落ちたころ一本の電話が鳴った。

「おはようございます。店長大丈夫ですか?店が開いてないらしいのですが・・・」

時間は「午前7時」電話の相手は他の店の店長だった。

どうやら朝の清掃さんから店が開いてないとクレームが入ったらしい。

清掃さんは朝7時から開店前までホール内の清掃をする業者である。

その時店長は異動したてだったので、清掃さんに連絡先を教えていなかったのだ。

そのため、過去にそこの店長だった人に連絡が行ってしまったのである。

電話受けた店長はすぐさま当日の責任者に電話をした。すると・・・

「すいません、今起きました!すぐ店に行きます!」


なんと、店長不在の日に店を開けなくてはならない責任者が遅刻をしてしまったのである。

店長として休みの日に店が開けられないという事態は最も避けなければならないトラブルであり、それが起こったとなると計り知れないパニッシュメントを受けることになってしまう。

今回は遅刻した責任者が開店準備を早々に仕上げ、どうにか開店に間に合うことができた。

どうにかなったので胸をなでおろした店長であったが、他の店長や清掃業者へ迷惑をかけたことを反省し謝罪することにした。

系列店の店長には感謝と謝罪の言葉をもって対応し、清掃さんについては次回から何かあったらこちらの番号に連絡をくれといって名刺に電話番号を書いてリーダーに渡すことにした。


清掃の人は大体10人くらいいて、リーダーは男女1人づつであった。

店長は今回名刺を渡そうと思って、たまたま話しかけた女性の人が代表者ということだったのでそのまま名刺を渡したのだった。

「今回の件はすいませんでした。次に私のいない日にこういったことがあったらコチラに電話を下さい。

清掃さんたちは特に怒っておらず、まあ寒かったけど間に合ったからよかったと言ってくれました。

その後、当日責任者を厳重注意しこれにて一件落着となったのであった。


1週間ほど経過したある日のこと、店長はいつものように開店前の調整を行っていた。

すると、名刺を渡した清掃スタッフの女性が近づいてきたのである。

「ねえ、アタシどうしたらいいの?」

店長は突然のことで何の話をしているのか分からなかった。

「何かありましたか?」

「・・・もういい」

「・・・」

女性清掃員の年齢は50後半から60代。

しわくちゃのババアというわけではなく、すらっとしてキレイめな感じであった。

恐らく若かりし頃さんざん遊んだであろう雰囲気は十分に醸し出していた・・・

そんな感じのババアであった。

店長はとにかくこの日のやり取りが意味不明すぎて、モヤモヤしていたのであったが気にせず仕事をすることにした。

すると、翌日からババアに異変が起こったのである。


朝の清掃時に挨拶をしてもすべてムシ。

目も合わせず、挙句の果てに責任者を通じて「店長が作業のジャマをしてくる」といった因縁をつけてくるようになったのである。

何かをした覚えもないのだが、明らかに変わったババアの態度に、正直めんどくせぇなと思っていた。

清掃員など朝の数時間しか顔を見ないし、しばらくしたら収まるであろうと放置していたのだが一向に態度が良くならない。

これはどうしたものか。

10日間くらいこんなことが続いた後、毎朝ババアにムカつくのもいい加減イヤになってきたので、男性の清掃リーダーに相談することにした。

「すいません。実はあのババアに名刺を渡した後くらいからこんなことを言われまして、挨拶は返さないし変なことも言ってきているんですけど。どうしたら良いですか?」

んー困りましたね。あのババアはちょっと変わってるんですよね。他のみんなにも強く言うから怖がられてるし・・・あの人キレイ気な感じでしょ?だから店長さんに名刺渡されて、ちょっと違う受け方しちゃったんじゃないですかね。」

やっぱりそういうことなのか。。。。

ただ、ババアに対して真っ向勝負で「勘違いしてんじゃねぇよババア!」と言ってしまうと今後の仕事に影響も出てきそうだし、向こうが「いや、アンタこそ何意識してんの?」みたいな感じになったら、それはそれで損した気分になる。

解決策が浮かばないまま2週間が経過しようとしていた時の朝、スロットの調整をして回っていた時ちょうどババアの担当島とかぶってしまった。

すると



「これ、アタシの番号だから」

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